2018年 02月 03日
マスコミを敵に回すことは得策ではありません |
重大不祥事を起こした組織のトップは、連日、マスコミの厳しい追及にさらされます。そして、マスコミ対応に失敗したために傷口をさらに大きく広げてしまった、という実例も数多く存在します。
誰でも、不祥事を厳しく追及され続けた際にうまく切り抜けることは困難です。こういった場面では、基本的に得点はできません。如何に失点を減らすか、に全力を集中するしかありません。その際、本質部分の理解度や基本スタンスによって、失点、すなわちダメージの量が劇的に変わってきます。
マスコミ対応に失敗する際の典型的な基本スタンスが、マスコミを敵だと捉えてしまうこと。確かに、聞いてほしくないことを繰り返し根ほり葉ほりほじくってくるわけですから、本当に嫌な相手です。でも、それがマスコミの仕事なのです。そこは割り切るしかありません。そして、マスコミの先には、一般社会があります。ですから、マスコミ対応の際には、目の前の記者やカメラマンではなく、その向こうにいる一般人に焦点を合わせて対応することが鉄則です。そこがわかっていなければ、必然的に失敗します。
近年は、メディアトレーニングなども脚光を浴びるようになって、このあたりの考え方もかなり浸透しつつあるように見受けられますが、未だにとんでもない勘違いをしている人達にも時折出くわします。今回は、その中でも特に印象的だった人の話。
以前、私はある会合に呼ばれて、コンプライアンスについて話しました。その際、不祥事報道記事を紹介して、「皆さんも不祥事を起こすとこういう目に遭うんですよ」と説明しました(最近はあまりやりませんが、以前はこのような新聞記事の紹介もよくやっていました)。終わってから、会社経営者だという高齢男性が寄ってきて、次のようにまくしたてました。
「君ね、マスコミ報道を引用するのはけしからん。偏向マスコミなんていい加減なことしか書かないんだ。書いてあることなんてちっともあてにならない。間違ったことばかりだ。そもそもマスコミなんてものは・・・」
具体的にどんなことを言っていたのかはほとんど忘れましたが、とにかく、延々とマスコミを非難していたことはよく覚えています。
私は、本当なら次のように反論したかったのですが、おそらくこの人には何を言ってもムダだろうと思って黙って聞いていました。
「マスコミが偏向しているかどうかは大したことではありません。あなたの会社が大きな不祥事を起こせば、間違いなくマスコミにたたかれます。その際に『マスコミなんて偏向しているから・・・』などと言い出そうものなら、火にガソリンを注ぐことになります。社会は責任転嫁だとしか受け止めません。マスコミが偏向していないとは言いませんが、それはそれとして、マスコミ対応は適切におこなう必要があります。マスコミが正しかろうが間違っていようが、偏向していようがしていまいが、とにかく現実にこうやって書かれるんですよ。私がお伝えしたいのはその点です。その際に、『マスコミは偏向しているから』で切り抜けられると思っているんですか?」
私も、マスコミ報道に数々の難があることは感じています。でも、だからと言ってマスコミを敵視してマスコミ自体に反撃しても、ほとんど意味がありません。おそらく、この経営者はそのあたりがわかっていないのです。不祥事を報道された後、「マスコミ報道なんて偏向していますから、信じちゃいけません。報道内容はウソばかりです」とでも言えば、世間は許してくれると思っているのでしょうか。根本的に方向性を誤っています。仮にこの人の会社が重大不祥事を起こしたなら、一体どういう対応や発表をするのだろう、と今でも気になっています。
誰だって、攻撃されれば不愉快ですし、反撃したくなるものですが、相手を選ぶ必要があります。少なくとも、マスコミを敵に回すことは得策ではありませんし、多くの場合、勝ち目はありません。目の前のマスコミの挑発や揚げ足取りに惑わされず、常に一般社会の視点で考えることが、不祥事対応や危機管理の基本です。
誰でも、不祥事を厳しく追及され続けた際にうまく切り抜けることは困難です。こういった場面では、基本的に得点はできません。如何に失点を減らすか、に全力を集中するしかありません。その際、本質部分の理解度や基本スタンスによって、失点、すなわちダメージの量が劇的に変わってきます。
マスコミ対応に失敗する際の典型的な基本スタンスが、マスコミを敵だと捉えてしまうこと。確かに、聞いてほしくないことを繰り返し根ほり葉ほりほじくってくるわけですから、本当に嫌な相手です。でも、それがマスコミの仕事なのです。そこは割り切るしかありません。そして、マスコミの先には、一般社会があります。ですから、マスコミ対応の際には、目の前の記者やカメラマンではなく、その向こうにいる一般人に焦点を合わせて対応することが鉄則です。そこがわかっていなければ、必然的に失敗します。
近年は、メディアトレーニングなども脚光を浴びるようになって、このあたりの考え方もかなり浸透しつつあるように見受けられますが、未だにとんでもない勘違いをしている人達にも時折出くわします。今回は、その中でも特に印象的だった人の話。
以前、私はある会合に呼ばれて、コンプライアンスについて話しました。その際、不祥事報道記事を紹介して、「皆さんも不祥事を起こすとこういう目に遭うんですよ」と説明しました(最近はあまりやりませんが、以前はこのような新聞記事の紹介もよくやっていました)。終わってから、会社経営者だという高齢男性が寄ってきて、次のようにまくしたてました。
「君ね、マスコミ報道を引用するのはけしからん。偏向マスコミなんていい加減なことしか書かないんだ。書いてあることなんてちっともあてにならない。間違ったことばかりだ。そもそもマスコミなんてものは・・・」
具体的にどんなことを言っていたのかはほとんど忘れましたが、とにかく、延々とマスコミを非難していたことはよく覚えています。
私は、本当なら次のように反論したかったのですが、おそらくこの人には何を言ってもムダだろうと思って黙って聞いていました。
「マスコミが偏向しているかどうかは大したことではありません。あなたの会社が大きな不祥事を起こせば、間違いなくマスコミにたたかれます。その際に『マスコミなんて偏向しているから・・・』などと言い出そうものなら、火にガソリンを注ぐことになります。社会は責任転嫁だとしか受け止めません。マスコミが偏向していないとは言いませんが、それはそれとして、マスコミ対応は適切におこなう必要があります。マスコミが正しかろうが間違っていようが、偏向していようがしていまいが、とにかく現実にこうやって書かれるんですよ。私がお伝えしたいのはその点です。その際に、『マスコミは偏向しているから』で切り抜けられると思っているんですか?」
私も、マスコミ報道に数々の難があることは感じています。でも、だからと言ってマスコミを敵視してマスコミ自体に反撃しても、ほとんど意味がありません。おそらく、この経営者はそのあたりがわかっていないのです。不祥事を報道された後、「マスコミ報道なんて偏向していますから、信じちゃいけません。報道内容はウソばかりです」とでも言えば、世間は許してくれると思っているのでしょうか。根本的に方向性を誤っています。仮にこの人の会社が重大不祥事を起こしたなら、一体どういう対応や発表をするのだろう、と今でも気になっています。
誰だって、攻撃されれば不愉快ですし、反撃したくなるものですが、相手を選ぶ必要があります。少なくとも、マスコミを敵に回すことは得策ではありませんし、多くの場合、勝ち目はありません。目の前のマスコミの挑発や揚げ足取りに惑わされず、常に一般社会の視点で考えることが、不祥事対応や危機管理の基本です。
by sendanaoto
| 2018-02-03 12:07
| リスクマネジメント
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