2018年 03月 31日
宴会で最初からビール以外を飲んで何が悪い |
3月25日付の日経電子版「出世ナビ」に、「新人VS.先輩 会社で「びっくり体験」ランキング」という記事が載っています。新社会人と先輩がお互いにびっくりしたことのランキングです。その先輩側のびっくりの第9位に、「宴会で最初からビール以外を飲む」というのがありました。これには逆に私がびっくりしました。
宴会では最初にビールを飲まなければならないものなのでしょうか?誰がそんなことを決めたのでしょうか?それが日本のビジネスマナーなのでしょうか?最初にビール以外を飲むと、公序良俗に反したり、コンプライアンスの問題になったりするのでしょうか?誰にどんな損失が発生するのでしょうか?疑問は尽きません。
とりあえず、忘れないうちに私は若者達にメッセージを発しておきます。もしかしたら、サラリーマン社会では、「宴会では最初にビールを飲む」が不文律なのかもしれませんが、「それはおかしい」と思っているオッサン世代も確実にいます。私だけではなく、絶対に他にも少なからずいるはずです。こういう無意味な不文律を崩し陋習を打破していくこと、職場に新風を吹き込むこと、も若い人達に期待されている役割のひとつ。ぜひがんばってほしい。サラリーマンからドロップアウトしてしまった私がこんなことを言ってもあまり説得力はないかもしれませんが・・・。
一見、すごくくだらない論点に思えるかもしれませんが、決してそうではありません。こういうところにも集団思考停止の芽は備わっているのです。「ビールは苦いから嫌い。サワーを飲みたい」という人が最初にサワーを頼んだときに、上司から「君、社会人としての心構えができていないねえ」などと言われたりしたら、萎縮の第一歩が始まります。それがエスカレートしていけば、どんどん職場の風通しが悪くなります。本当に必要不可欠なビジネスマナーならきちんと指導してしかるべきですが、「常識」とか「空気を読め」という美名の下で繰り広げられている無意味で不条理な押し付けが何と多いことか。そして自分がそれをやっているという自覚がない中高年も何と多いことか。宴会だからと言って、いきなり上司にタメ口をきくのは私もおかしいと思いますが、好きなものを好きに頼んで何が悪いのでしょう。もちろん、大衆居酒屋で自分だけ「ツバメの巣のスープ」とか「カスピ海産のキャビア」を頼むのは明らかにマナー違反です(そもそも大衆居酒屋にはそんなものは置いてないでしょうけれど)。
私がこういう問題意識を持ったのは今に始まったことではありません。サラリーマン時代から既におかしいと思い続けていました。同じような問題意識として、「宴会で最初に白飯を頼んで何が悪い」もあります。
以前、私の同僚に、炭水化物大好きを自称する人がいました。その人はお酒はあまり好きではないので、宴会では最初から白飯を食べたかったのです。でも、宴会で早い時期に白飯を頼むと、周囲から「なんで飲んでいるのに白飯を食べるんだ?」と有形無形のプレッシャーを受ける。だから毎度、いわゆる「シメ」の時間まで白飯は我慢していました。しかし、私もこれはおかしいと感じていました。私にとって、アルコールは「飲み物」、白飯は「食べ物」であるので、代替関係になどないからです。理由は違えども、私も最初から白飯を食べたい人間でした。そこで、あるとき思い切って、宴会の最初に、「私と〇〇さんはご飯を注文します。他に頼む人いますか?」と聞いたら、なんと次から次に「自分も、自分も」と手が挙がる。なんだ、みんな我慢してたんじゃないか。ばからしい。落語に出てくる、今わの際に「本当はそばにつゆをたっぷりつけて食べたかった」と言い遺した意地っ張りの江戸っ子と何も変わりません。まさしく「王様は裸だ」と誰も言えなかった状況の典型です。
一般論で言うなら、どの職場にも多かれ少なかれ不合理な仕組や風土はあります。気づかないうちに集団思考停止に陥っているケースも多いのです。そうなると、気づきたくても自力ではそうそう気づけません。宴会での注文の順番くらいならまだしも、より深刻な事態(たとえばハラスメントや公私混同の横行、規則違反の常態化など)であれば、放置することは大変危険です。そんなときに、新人や転入者の「なんでみんなそんなことやっているんですか?」という素朴な問題提起で、誰もが「はっ」と目を覚ますこともあります。そういう意味でも、新人の存在は貴重で有益なのです。社会人になれば、おそらく、次から次に「非常識だな」とか「わかってないな」と言われるでしょうけれど、その中身や本質をよく吟味してください。本当に自分が非常識なのか、それとも、おかしいのは周囲であり周囲こそ集団思考停止に陥っているのか。後者であると確信できるときには、思い切って声を上げる、あるいは内部通報窓口に相談する、ことも一計です。それによって、組織を重大な窮地から救えることもあります(決しておおげさな話ではありません)。
たかが宴会での注文の順番、にも、コンプライアンスのヒントが転がっていることはあるのです。
宴会では最初にビールを飲まなければならないものなのでしょうか?誰がそんなことを決めたのでしょうか?それが日本のビジネスマナーなのでしょうか?最初にビール以外を飲むと、公序良俗に反したり、コンプライアンスの問題になったりするのでしょうか?誰にどんな損失が発生するのでしょうか?疑問は尽きません。
とりあえず、忘れないうちに私は若者達にメッセージを発しておきます。もしかしたら、サラリーマン社会では、「宴会では最初にビールを飲む」が不文律なのかもしれませんが、「それはおかしい」と思っているオッサン世代も確実にいます。私だけではなく、絶対に他にも少なからずいるはずです。こういう無意味な不文律を崩し陋習を打破していくこと、職場に新風を吹き込むこと、も若い人達に期待されている役割のひとつ。ぜひがんばってほしい。サラリーマンからドロップアウトしてしまった私がこんなことを言ってもあまり説得力はないかもしれませんが・・・。
一見、すごくくだらない論点に思えるかもしれませんが、決してそうではありません。こういうところにも集団思考停止の芽は備わっているのです。「ビールは苦いから嫌い。サワーを飲みたい」という人が最初にサワーを頼んだときに、上司から「君、社会人としての心構えができていないねえ」などと言われたりしたら、萎縮の第一歩が始まります。それがエスカレートしていけば、どんどん職場の風通しが悪くなります。本当に必要不可欠なビジネスマナーならきちんと指導してしかるべきですが、「常識」とか「空気を読め」という美名の下で繰り広げられている無意味で不条理な押し付けが何と多いことか。そして自分がそれをやっているという自覚がない中高年も何と多いことか。宴会だからと言って、いきなり上司にタメ口をきくのは私もおかしいと思いますが、好きなものを好きに頼んで何が悪いのでしょう。もちろん、大衆居酒屋で自分だけ「ツバメの巣のスープ」とか「カスピ海産のキャビア」を頼むのは明らかにマナー違反です(そもそも大衆居酒屋にはそんなものは置いてないでしょうけれど)。
私がこういう問題意識を持ったのは今に始まったことではありません。サラリーマン時代から既におかしいと思い続けていました。同じような問題意識として、「宴会で最初に白飯を頼んで何が悪い」もあります。
以前、私の同僚に、炭水化物大好きを自称する人がいました。その人はお酒はあまり好きではないので、宴会では最初から白飯を食べたかったのです。でも、宴会で早い時期に白飯を頼むと、周囲から「なんで飲んでいるのに白飯を食べるんだ?」と有形無形のプレッシャーを受ける。だから毎度、いわゆる「シメ」の時間まで白飯は我慢していました。しかし、私もこれはおかしいと感じていました。私にとって、アルコールは「飲み物」、白飯は「食べ物」であるので、代替関係になどないからです。理由は違えども、私も最初から白飯を食べたい人間でした。そこで、あるとき思い切って、宴会の最初に、「私と〇〇さんはご飯を注文します。他に頼む人いますか?」と聞いたら、なんと次から次に「自分も、自分も」と手が挙がる。なんだ、みんな我慢してたんじゃないか。ばからしい。落語に出てくる、今わの際に「本当はそばにつゆをたっぷりつけて食べたかった」と言い遺した意地っ張りの江戸っ子と何も変わりません。まさしく「王様は裸だ」と誰も言えなかった状況の典型です。
一般論で言うなら、どの職場にも多かれ少なかれ不合理な仕組や風土はあります。気づかないうちに集団思考停止に陥っているケースも多いのです。そうなると、気づきたくても自力ではそうそう気づけません。宴会での注文の順番くらいならまだしも、より深刻な事態(たとえばハラスメントや公私混同の横行、規則違反の常態化など)であれば、放置することは大変危険です。そんなときに、新人や転入者の「なんでみんなそんなことやっているんですか?」という素朴な問題提起で、誰もが「はっ」と目を覚ますこともあります。そういう意味でも、新人の存在は貴重で有益なのです。社会人になれば、おそらく、次から次に「非常識だな」とか「わかってないな」と言われるでしょうけれど、その中身や本質をよく吟味してください。本当に自分が非常識なのか、それとも、おかしいのは周囲であり周囲こそ集団思考停止に陥っているのか。後者であると確信できるときには、思い切って声を上げる、あるいは内部通報窓口に相談する、ことも一計です。それによって、組織を重大な窮地から救えることもあります(決しておおげさな話ではありません)。
たかが宴会での注文の順番、にも、コンプライアンスのヒントが転がっていることはあるのです。
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by sendanaoto
| 2018-03-31 08:35
| 世の不条理
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